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歴史・沿革HISTORY

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五十猛(いそたけ)のグロをご存知ですか?

島根県大田市五十猛町大浦(いそたけちょうおうら)では、毎年年頭にグロと呼ばれる仮屋を設け、歳徳神(としとくじん)を迎え一年の豊漁などを祈願します。

国の重要無形民俗文化財に指定されている、伝統ある行事です。
期日中はグロの火を絶やすことなく燃やし続けます。文献では、3世紀~4世紀頃の昔、地域の住人達が日陰の湿気の多い穴居での生活で病気が流行り、漁も無く生活に苦しんでいるのを、地域ををとおりかかった神様方が「木や竹や草をつかって、陽の当たる丘の上に家を作ること」を教えたと言われています。

人々は健康を取り戻し漁も多くなり生活も楽になりました。これに感謝して、正月に歳徳神を祭る行事に併せてグロの行事が始まったと伝えられています。

グロの語源は定かではありませんが、グロとは「草むらや山中に立つ簡素な小屋」のこと、あるいは、「密集している様子を言い表す言葉」として使われていたようで、グロの語源になったのではと言われています。

また、海蛇(うみへび)を供えること、グロの形がトグロ(大蛇がからだを渦巻きのように巻いている様子)に似ているからとの説もあります。
地区の人々が仮屋に集まり、囲炉裏を囲んで餅や、干し魚、するめを焼いて食べながら深夜まで歓談して過ごします。その火で焼かれたものを食べると、その年は病気にならないと言われています。お近くにお越しの際は体験してみてはいかがでしょうか。
期間は、年頭の1月11日から15日の5日間のみです。15日の早朝には解体され、各家が持ち寄った正月飾りとともに焼かれます。

近くに、韓神新羅神社があります。場所は五十猛漁港の湾の一画です。
和田珍味本店では、道のご案内もさせていただきますので、お気軽に声をかけてくださいませ。

グロが出来上がるまで

設営始め

まずはじめに、グロの中心となる支柱をつくります。
何本もの竹をロープでくくりつけ、一つの長大な支柱をつくり、上部の笹の葉に短冊を飾ります。

昨年度に和田珍味で飾った七夕の短冊もこの笹の葉に飾っていただきました♪

支柱を立てる

出来上がった支柱を、大人数でロープを使って立たせます。
支柱を立たせたら、まっすぐ立つように多方向からロープを引っ張って調節をします。

支柱の長さはおよそ20メートル!
写真左の韓神新羅神社の鳥居がとても小さく見えますね!

骨組みの組み立て

支柱を囲うように複数の木の柱を立て、支柱と木の柱をつなぐように竹で屋根の骨組みを作ります。

骨組みが崩れないように複数の箇所をひもでしっかりと結び固定していきます。

小屋の設営

小屋の周囲を笹で覆い、壁を作っていきます。
それから、莚(むしろ)を重ねて覆い、屋根を作ります。

小屋の大きさは高さ約3メートル、直径は約10メートル。
どっしりとした、立派な小屋が完成しました!

完成

仕上げに小屋の入口に松飾を一対飾り、周囲の笹に、支柱上部の笹の葉に付けられなかった短冊を飾っていきます。

内部には、天上から板を縄で吊って神棚を作り、地面に木材を並べて、囲炉裏を3箇所に作れば完成です!!

グロを通しての交流

お餅つき

グロが完成すると、地域の人たちとお餅つきが行われました。
子供からお年寄りまで、地元の方皆さんで、顔にスミをつけて餅をついておられました。

顔にスミを塗ると「無病息災」やご利益があるそうですよ^ ^

グロの中での歓談

お餅つきの後は、出来上がったグロの中で解体をする15日までの5日間地域の人たちがグロの中に集まり、持参したお餅や干し魚、スルメなどを囲炉裏の火で焼いて食べたり、お酒を飲んだりして夜遅くまで歓談をして過ごします♪

グロの火にあたり、その火で焼いたものを食べるとその年は病気にならないといわれています。

神送りの神事

グロを解体する前夜の14日夜には「神送り」が行われます。
神棚に御神酒、鏡餅、塩、鯛やホウボウなどの赤い魚を供え、礼拝をして無病息災や、豊漁を再び祈願して、神を送ります。

神送りの後、御供えした鏡餅は囲炉裏で焼いてグロに来ている大勢の人たちに配られました。

グロを焼く

翌15日に早朝から当番の組の男性たちが浜辺に集まりグロの解体が始まりました。

グロから取り外された笹や竹などは浜辺に高く積まれ、各家が持ち寄った正月飾りとともに燃やされて行事は終了します。