今回の記事
今回の記事では今までの記事で紹介している「のどぐろ」の旬の期間について紹介していきます。そもそも「のどぐろ」に旬なんてあるのかという方も多いくらい「のどぐろ」をおいしく食べることができる期間は長く、高価ではありますが、一年中食べることができる魚という認識を持っておられる方もいいのではないでしょうか。この「のどぐろ」の旬の期間の長さの謎に迫っていきます。謎が多い高級魚「のどぐろ」。おいしさの秘密、生体の秘密も紹介していきます。
謎多き魚「のどぐろ」 名前編
皆様は「のどぐろ」という魚の名前の由来はご存じでしょうか。なじみのある「のどぐろ」という呼び方は正式名称ではなく、「くちのおく、すなわちのどが黒いこと」から「のどぐろ」という呼び名がついたといわれています。諸説ある中ではこの説が有力だと思います。
「のどぐろ」で浸透しているこの魚の正式名称は「アカムツ」。スズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科に属している暖海性魚類です。名前の通り、魚体は赤。そしてムツという名前は「脂がむつこい」の「ムツ」からきているようです。きらきらと輝く、黄金の脂。旬の時期のものだと特に甘みもあり、おいしさが増します。色の特徴と味の特徴から正式名称がついている魚「のどぐろ」の名前の秘密はわかりましたでしょうか。
「のどぐろ」は別名で「のどの奥が黒い」ことが由来とされる説があること。「のどぐろ」の正式名称「アカムツ」は「魚体が赤いこと、そして脂の乗りが非常によく、むつこいほどである」という2点知っていただくことができれば幸いです。
謎多き魚「のどぐろ」 旬・食べごろの秘密
さて今回の記事のタイトルにもある「のどぐろ」の旬・食べごろについてですが。「のどぐろ」の旬と呼ばれる時期は6月から10月と言われている説、そして秋から冬にかけてという説の2通りあります。前者の6月から10月は「のどぐろ」の産卵期という理由から旬とされています。産卵のために「のどぐろ」は脂を体に蓄えます。そのため「のどぐろ」の脂乗りがよくなり、通常よりもおいしくなるという理由から旬であるという説ができているようです。後者の秋から冬という説は海水温度の問題です。海水温度がぐっと下がる秋から冬の時期は身がしまる。「のどぐろ」も同様に良質な脂肪を蓄えて寒さをしのぐといわれています。寒くなる時期は特に店舗などでも「のどぐろ」の旬と打ち出しているところも多いです。両方に共通するのが「のどぐろ」の脂が上質・良質になる季節が「のどぐろ」の旬となっていることです。
では前者の6月から10月の「のどぐろ」の旬、秋冬が「のどぐろ」の旬、この2つとも本当だとすると、半年以上の期間が「のどぐろ」の旬になることがわかります。旬とはそんなに長いものなのでしょうか。
そもそも旬とは「食文化における特定の食材について、ほかの時期よりも新鮮に食べることができる時期のこと」を示しており、農作物のようにとることができない時期があるわけではないので、半年以上の長さ「のどぐろ」の旬があることはおかしくないようにも思えます。
しかし買手側となる「のどぐろ」を料理に使いたいときと考えると、どの時期に「のどぐろ」を仕入れて使うことが一番良いのかわかりません。結論から言ってしまうと、「のどぐろ」はいつでもおいしいのです。食べごろというと一年中ということができます。これが「のどぐろ」の旬と食べごろの秘密です。ではなぜおいしさの波が一年の中で生じにくいのでしょうか。
のどぐろが一年中おいしい理由
のどぐろの生態として水深深くに生息していることが知られています。深海という過酷な環境下で生活している「のどぐろ」にとってエサが重要。エサが少ないところでは活動に使うエネルギーを自分で賄うことができないこともあり得ます。そんな中で「のどぐろ」はなぜ一年中おいしさを保つことができているのでしょうか。「のどぐろ」が体に「脂」を蓄えていること。これが手掛かりになりそうです。
海ではありませんが陸上でも同じように過酷な状況で過ごしている生き物がいます。それが「ラクダ」です。ラクダは乗ったことがありますでしょうか。こぶの部分に乗ることはテレビなどで見てご存じの方も多いのではないでしょうか。ラクダには「こぶ」があり、このこぶには「脂肪」が入っています。水分や食べるものが非常にすくない砂漠という過酷な環境下。ラクダと「のどぐろ」は同じ過酷な環境で生活して体に「脂肪」を蓄えているのです。
浮袋としての脂肪を体に蓄えて「のどぐろ」は過酷な環境下でたくさん動かずとも浮くことができ、生活することができるように工夫しています。「脂肪」を生活するうえで蓄えている「のどぐろ」の食べごろがなぜ長いのかわかってもらえたのではないでしょうか。
「のどぐろ」は深海にすんで生活をするために豊富な脂肪を体に蓄えており、それが年中おいしい、旬が長い理由になっているようです。
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