高級魚として知られる「のどぐろ」ですが、産地や漁法、サイズなどによってブランド化されているのをご存じでしょうか。今回は島根県の「どんちっちノドグロ」、長崎県の「紅瞳」、そして2024年6月に披露されたばかりの新潟県の「美宝」という3つののどぐろブランドについて、その特徴や認定条件などを詳しく解説します。のどぐろファンは必見の内容です。
のどぐろのブランド化とは
のどぐろ(正式名称:アカムツ)は、日本海や東シナ海に生息するスズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科の魚です。白身魚の中でもとくに脂がのっていておいしいことから「白身のトロ」や「幻の高級魚」とも呼ばれ、寿司ネタや干物、煮付けなどの料理として大変人気があります。近年、のどぐろへの注目度がますます高まる中、産地によっては特定の条件を満たしたのどぐろをブランド化して出荷しています。
ブランド化することで、販売者側は付加価値を高めて他産地ものと差別化を図り、高値での取引が可能です。品質の高さをアピールできるだけでなく、ブランドの知名度向上によって売上アップも期待できます。一方、消費者側にとってもブランド名を目安に品質の高いのどぐろを選びやすくなり、安心して購入できるようになるという点は大きなメリットです。
のどぐろ以外にも、マグロやカツオ、ブリ、タイなどさまざまな魚でブランド化の取り組みが行われています。たとえば、クロマグロの「大間まぐろ」(青森県大間町)、ブリの「関あじ・関さば」(大分県大分市佐賀関町)などが有名です。水産資源の枯渇が問題となる中、つくり手の顔が見える付加価値の高い産品として、魚のブランド化は今後ますます重要になっていくでしょう。
島根県「どんちっちノドグロ」
「どんちっちノドグロ」は、島根県浜田市を代表する地域ブランドの1つです。浜田沖を中心とした山陰沖西部の豊かな環境で育ったのどぐろを指します。「どんちっち」ブランドには「どんちっちカレイ」や「どんちっちアジ」も存在し、これらは「どんちっち三魚」と総称されています。
浜田市では古くからのどぐろ漁が盛んで、漁師たちの間では「浜田の魚」として親しまれてきました。豊富なプランクトンを餌に成長したのどぐろは脂がのっており、最高で30%以上という驚異の脂質含有量を誇ります。これはマグロのトロに匹敵するほどで、まさに「白身のトロ」といえる味わいです。
どんちっちノドグロの認定条件
- 浜田市水産物ブランド化戦略会議に加盟した団体が沖合底引き網漁業(2そうびき)で漁獲したもの
- サイズが80g以上
- 漁獲期間が概ね8月~翌年5月
- 目印となるブランドシールを貼って出荷
なお、どんちっちカレイと認められるための条件は、沖合底引き網漁業(2そうびき)で漁獲したミズカレイ、エテカレイ、ササガレイに限り、サイズ50g以上、漁獲期間は8月〜翌年2月となっています。
また、 どんちっちアジと認められるための条件は、島根県西部沖にてまき網漁で漁獲されたもののうち、平均脂質10%以上、サイズ50g以上、漁獲期間は概ね4月〜9月と定められています。脂質含有量は一般的なアジの2倍以上で、15%を超えることもあるそうです。
「どんちっち」とは?
「どんちっち」という言葉は、島根県西部で盛んな郷土芸能「石見神楽」のおはやしの音に由来しています。激しい太鼓の音とかけ声が「どんちっち、どんちっち」と聞こえることから、幼児言葉として使われるようになったそうです。そして、これが転じて石見神楽そのものを指す言葉にもなりました。
地域に根付いた伝統芸能のように、どんちっちブランドも地元で愛され、全国区のブランドになることが期待されています。「どんちっち」の名を冠することで、浜田が誇るのどぐろ、カレイ、アジの魅力を広くアピールしていく狙いがあるのです。
長崎県「紅瞳」
長崎県対馬産ののどぐろの中でも、産地と漁法、サイズなど厳しい基準をクリアしたものだけが「紅瞳」の名で出荷されます。対馬は「日本最後ののどぐろの聖地」ともいわれ、ほかの産地では味わえないプレミアムなのどぐろとして高い評価を受けています。
紅瞳ののどぐろが育つ対馬周辺の海域は、九州と朝鮮半島の間に位置し、玄界灘から日本海へとつながる”海峡”です。黒潮の分流である対馬海流がぶつかり合うことで、栄養豊富な潮の流れが生まれるのだとか。このような好環境のもと、のどぐろは餌を豊富に食べて大きく成長できるのです。
紅瞳の認定条件
- 対馬海流の豊富な栄養で育った上対馬産
- はえ縄漁を改良した「地獄縄」という特殊な仕掛けで釣り上げられたもの(一般的な漁法の底引き網は不可)
- 血抜きをほとんど行わないなど徹底した鮮度管理が施されている
通常ののどぐろは200g程度のサイズが多いのですが、紅瞳の場合はそれ以上の大型サイズが中心となります。また、網ではなく1匹ずつ丁寧に釣り上げることで魚体へのダメージを最小限に抑えているのも大きな特徴です。 紅瞳の名前は、釣り上げられた姿が目の赤い宝石のように美しいことに由来しています。
のどぐろは水揚げ後の鮮度落ちが早いのですが、紅瞳は漁獲時から神経締めやスピード冷凍などの処理を施すことで鮮度と風味を保っているそうです。このような品質管理の徹底ぶりも、紅瞳が誇る味の秘密といえるでしょう。
新潟県「美宝」
2024年、新潟県は全国トップクラスの品質を誇る県産のどぐろの新ブランド「美宝」を発表しました。新潟は本州日本海側有数ののどぐろの産地として知られています。そんな新潟が誇る最高級ののどぐろに与えられたのが「美宝」の称号です。
美宝は、新潟県の沿岸でもとくに寒流の影響を受ける村上市や糸魚川市の港で水揚げされたものに限られています(2024年6月時点)。春から夏にかけてこの海域を北上する寒流に乗って運ばれてくるプランクトンをたっぷりと食べ、身に脂をためていくのです。400g以上(美宝の基準の1つ)にもなる大型ののどぐろが、まるで「赤い宝石」のようにキラキラと輝く姿に見えたことにちなんで「美宝」と名付けられました。
美宝の認定条件
- 重量400g以上の大型サイズ
- 村上市・岩船港と桑川漁港、糸魚川市・筒石漁港の3港7隻の船によるはえ縄漁や刺網漁で漁獲されたもの(2024年6月時点)
- 鱗の剥がれがないなど見た目が美しいもの
- 手で直接触れない、氷に直接あてないなど徹底した品質管理
通常ののどぐろの漁獲シーズンは秋から春にかけてという地域が多い中、新潟県では底引き網漁が禁漁となる7〜8月に大型ののどぐろがはえ縄漁で1尾ずつ丁寧に漁獲されています。そののどぐろの品質が非常に高いことは一部の料理人のあいだでよく知られていたようです。
美宝は漁獲量が1トンから2トン程度と希少価値が高く、主に新潟県内の限られた飲食店でのみ2024年7月以降に提供されるとのことです。
参考:新潟のどぐろ「美宝」
【贈り物にも】のどぐろを自宅へ直接お届け
ブランドのどぐろに限らず「のどぐろ=高級魚」というイメージが定着しているからこそ、のどぐろは特別な機会に贈るギフトとして最適な品です。なお、のどぐろの干物や姿煮など加工されたものであれば、冷凍保存ゆえ日持ちもするためとくに喜ばれます。
本章では、のどぐろの本場島根県の水産加工品メーカー「和田珍味」が自社開発したのどぐろ商品を紹介します。お歳暮やお祝いの品としても人気があるものばかりです。ぜひギフト選びの参考にしてみてください。
のどぐろの一夜干
和田珍味ののどぐろが他店のものとは一味違う
今や贈答用としても非常に人気を集める「のどぐろの一夜干し」和田珍味では塩のみを使用し、無添加仕上げにしています。新鮮なのどぐろを一夜干しに加工し、急速冷凍技術を使って旨味を凝縮させた当商品はのどぐろ本来の味を楽しんでいただくにはもってこい。脂ののりが抜群なのでグリルの上で焼いてもふんわりジューシーに仕上がります。
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▶「のどぐろの一夜干し」商品一覧 | 和田珍味オンラインショップ
のどぐろの姿煮
化学調味料不使用&こだわりの自家製タレ
高級魚・のどぐろの濃厚なおいしさが楽しめるもうひとつの食べ方が煮付けです。和田珍味では、旬の脂が乗ったのどぐろを、こだわりのタレでふっくらとした姿煮に仕上げました。湯煎するだけで、お手軽にお楽しみいただけます。
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のどぐろのアクアパッツァ
のどぐろとイタリア料理の融合
のどぐろのおいしさをもっとお伝えしたい、その思いから「のどぐろのアクアパッツァ和風仕立て」が生まれました。脂ののったのどぐろを一尾丸ごとこんがり焼き、旨味を封じ込め、あさり・トマト・オリーブなどと一緒に旨味が溶け込むように煮込みました。湯煎するだけで、お手軽にお楽しみいただけます。
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のどぐろのたたき
のどぐろを「たたき」でいただく贅沢な逸品
“白身のトロ”と言われる高級魚「のどぐろ」を使ったのどぐろのたたきです。脂ののった大ぶりののどぐろだけを厳選し、表面をサッと炙ることで香ばしさを引き出し、中身は良質な旨味とコクを閉じ込めました。一夜干とはまたひと味違った贅沢なおいしさをご堪能ください。
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※「のどぐろのたたき」は受注生産の商品となっております。お届けまでにお時間を要する場合がございます。ご了承ください。
まとめ
のどぐろのブランドは産地ごとに基準が異なりますが、どれも味と品質に絶対の自信を持っています。単に規格の高いのどぐろを選別しているだけでなく、漁法や鮮度管理などにも独自のこだわりを持つことで、他産地ものとの差別化を図っているのが特徴です。
また、ブランド名には地域の文化や伝統、自然環境への愛着が込められていることも印象的です。のどぐろという魚を通して、産地のアイデンティティを感じることができるのも、ブランド化ならではの魅力といえるかもしれません。
生産者の誇りと消費者の信頼を繋ぐのが、のどぐろブランドの役割だといえるでしょう。全国各地の自慢ののどぐろを食べ比べてみるのも面白そうですね。味の違いを楽しみながら、のどぐろとその産地について理解を深められること間違いなしです。